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プリティ中野の一問入魂

元大学受験ラジオ講座講師プリティ中野が医学部・難関大受験生に贈るエール

山本兼一を見送る。そして岩手医科繰上合格!

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山本兼一を見送るために乗ったのぞみから見た伊吹山は

どっしりとした質感を漂わせていて

山本が腰を据えて創作に取り組んだ時の

その魂の山容のようにも思われた。


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上が遺影に用いられた写真である。

喪主を務められた奥様のお話では

この2月に入って酸素吸入マスクを装着するようになってからも

山本は病床で身を起こし

愛用のパソコンに向かって創作を続けたそうだ。


小説を読むのは楽しい。

しかし、小説を書くのはもっと楽しい。



それが口癖だった山本らしい最後の日々。


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山本兼一とは同志社大学の文学研究会で知り合った。

もう38年も前のことだ。

彼は1年後輩で、垂れ目で丸顔で笑うととっても愛嬌があった。

そしてよく笑った。

同志社EVE(学園祭)に文学研究会主催で作家を招いて

講演会を開こうということになり、

会長だった僕は埴谷雄高、吉本隆明、大江健三郎、小野十三郎、

開高健、五木寛之、野坂昭如、遠藤周作、筒井康隆・・・

に片っ端からコンタクトをとったが

交通費込の予算5万では誰も来てくれない。

そりゃそうだ。

そこで交通費がかからない地元京都在住の作家をということになり、

瀬戸内晴美あらため瀬戸内寂聴に照準を合わせたのだった。

ところが困ったことに彼女の作品を僕は読んだことがなかった。

文学研究会の誰一人読んだことがなかった。

ならば読めばよいではないかと今の僕なら思うわけだが、

当時の僕はそんな風には考えないほど浮世離れしていた。

山本も同じだった。

寂聴さんの作品の新聞広告のフレーズだけ見て、

嵯峨野は化野念仏寺のすぐそばにある彼女の家~寂庵を

二人でアポなし訪問したのだった。

寂聴さんはブルガリアに旅行中だった。

お手伝いさんに用件だけ伝えて1週間後に山本と二人で電話した。

あれはどこの電話ボックスだったろう。

百万遍の交差点脇だったか。

元田中の僕の下宿の共用電話だったか。

さすがに寂聴さんの肉声を受話器の向こうに聴いたとき、

山本も僕もそうとう緊張したのだった。

ところでどんな話が聞きたいのと問われた時、

緊張はマックスに達した。

作品を読んだことがないわけだからまともに答えられるわけがない。

しどろもどろになった時にひらめいたのが、

新聞広告で見た「女の性(さが)」だった。

「えー、その、なんというか女の性についてうかがいたいのですが・・・」

「・・・」

「女の業でもいいのですが…」

「あんた、わたしの本読んでないでしょ!」

不思議なことにこの場面、

僕と山本の記憶はほぼ一致しているのだが、

肝心なところで食い違っていた。

女の性云々を言ったのは、

二人とも自分自身だと記憶しているのである。

僕らは段落ごとにかわりばんこで受話器を握っていたのだった。

いずれにしても

「ま、いいわ。同志社は庭みたいなもんだから行ってあげるわ」

とため息交じりにつぶやいた時の寂聴さんは

きっと呆れた顔をしていたに違いない。

かくして1976年の同志社EVEで

瀬戸内寂聴さんの講演会が文学研究会主催で開かれたのだった。

タイトルは『嵯峨野雑感』だったが、

話の中身は、嵯峨野とは縁もゆかりもない岡本かの子の半生記だった。

今にして思えばあれは寂聴さん一流の洒落だったのだ。

僕だか山本だかよくわからなくなってしまったが、

まぎれもなくどちらかが言って寂聴さんを閉口させたあの一言

「女の性(さが)」からの連想だったに違いない。

つまり『嵯峨野雑感』は『性(さが)の雑感』。

さすが寂聴先生である。



こんな思い出話を肴に山本と杯を重ねたかったのだ。

あの一言、「女の性」を発語したのはどっちだったのか、

記憶の迷路を二人でまた歩いてみたかった。



いや、いずれ、歩いてみよう。

学生時代に戻って

健康のことなど微塵も気にせず

浴びるように呑みながら。



そんなことを思いながら出棺を見送った。

少なくとも400人以上はいた弔問客が

喪主のごあいさつに感動したその余韻にひたってか

なかなか帰路につこうとしなかった時

僕のガラパゴス携帯が振動した。

出てみると塾生のTT君。

6浪の彼は去年から私の塾に通っているのだ。

「先生!」

声が上ずっている。

「岩手、繰上合格来ました!」

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岩手医科大学


出棺の直後。

今年に入ってから

僕の意識が受験から一番遠ざかった瞬間を

まるで狙いすましたかのように

待ちに待った吉報が届くなんて

まさか山本、

これって君の演出なのか?




医学部受験生に贈る!
Dr.よしつね メディカル・レクチャー

講師:吉田統彦(つねひこ)先生




東海高校を経て名古屋大学医学部、同大学院卒業。
米国ジョンズ・ホプキンス大学ウィルマー・アイ・インスティテュートにて勤務。
眼科医。医学博士。愛知医科大学医学部客員教授。昭和大学医学部客員教授。
名古屋大学医学部非常勤講師。名古屋医療センター非常勤医師。前衆議院議員。


講義内容/日米の医療の比較を通じて、現代日本の医療問題を、
毎回テーマを変えながら鋭くえぐりだし、
医学部をめざす君の使命感を、インテリジェントにそしてパッショネートに鼓舞します。
このコースはまた
医学部入試の面接試験や小論文の背景知識を涵養する上で最高の対策となります。
講義の中では本場仕込みの医療系の英語や、
数学や理科のワンポイント・レッスンが飛び出すかもしれません。乞う、ご期待!

全9回コース(4月~12月につき毎月1回/すべて月曜日20:30~21:50)
     
     第1回 4月14日 ※第2回以降の日程は講義時に発表します。

対象:医学部受験生/定員20名(セント・メプレス生に限る)

詳細はセントメプレスまでお問い合わせください。
052‐733‐3234



各回のテーマ

1:日本の医療と世界の医療<アメリカの医療との比較を中心に>
2:日本の医療の水準と医師数、新設医大も含め
3:日本の予防医療とワクチン政策
4:医薬品・医療機器産業の現状と医療イノベーション
5:私の経験した海外医療ボランティアとメディカルツーリズムを考える
6:日本の科学技術政策その1<再生医療の実態と展望を中心に>
7:日本の科学技術政策その2<先端医療と抗加齢医学の実際>
8:日本の医療の諸課題、医療と政治
9:日本の医療の課題と展望~今までの総括も含め~
  1. 2014/02/17(月) 00:00:01|
  2. 山本兼一
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名古屋千種駅前の医学部&名門難関大専門塾セント・メプレス学長。元大学受験ラジオ講座講師。

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