FC2ブログ

プリティ中野の一問入魂

元大学受験ラジオ講座講師プリティ中野が医学部・難関大受験生に贈るエール

安達雄大の受験雑考 その九

adatitti.jpg
国語・小論文の安達雄大先生


単刀直入に、言う。
『絶歌』の出版・販売に、僕、安達雄大は徹底的に反対だ。
正確には、もう出版してしまった以上、
『絶歌』を世に出した太田出版の欺瞞と思慮のなさは、どこまでも糾弾されてしかるべきだ。


遺族への配慮を欠く・・・とか、
営利目的で「出版」という形をとったことへの説明不足とか、
もう各種コメンテーターの方々から言われていることには、全面的に同意。
それに加えて、もう二つ言わせてほしい。


一つ目。
そもそもなぜタイトルが文学志向・芸術志向なのかが、分からない。
何が「歌」だ。
「犯罪者」が、たちまち「作家」に・・・最悪の場合「芸術家」に変身してしまう。
ただの「いち犯罪者の反省文」を、『絶歌』なんていうタイトルで装飾してしまう。
そういう「色付け」に、太田出版の欺瞞が滲み出てしまっている。
本当に「純然たる社会的な価値」とか言うのなら、
『絶歌』なんていう、いかにも「売れそうな名前」ではなく、
一切の着色を取っ払い、「神戸事件の犯人の手記」にしなさいよ。



でも、以上のような事柄は、
今から申し上げる理由に比べれば、まぁ大した問題じゃない。
(以上のことだけでも十分に出版・販売停止に値すると思うには思うが・・・)

二つ目。
僕が『絶歌』の存在を否定する最大の理由は、
「どうせ大したことは書かれていないから」です。
今までになかった、括目に値するような新事実が、そこに書かれているとは思えないからです。

事件の残虐性、非人間性のあまりに、
「そこには何か特別な心理や経緯や生い立ちや世界観があるはずだ」と思い込むのは勝手だが、
罪を犯した理由なんて、そうそう簡単に説明つくのか?
例えばだけれど、
日常において、「殺意」に近い怒りや不満を覚えたことのない人間って、いるんだろうか?
突発的に相手に対して害意を抱いた・・・
日ごろから社会や家族に不満があり、ストレスを発散したかった・・・
そういう、人間だったら誰でも抱きそうな「殺意予備軍」的な感情が、
イロイロな条件をクリアしてしまい、
犯行という形で実現できてしまった。
そういう、「誰にでも起こりうること」が偶然生じただけのこと。
そんなものに、太田出版のどなたかがおっしゃるような、「社会的に特別な価値」はない。
絶対に、ない。
その程度のものを、「社会的な価値」というウソで取り繕っている、
その欺瞞が、気持ち悪い。

人は誰でも、「彼」になりうる。
「彼」のことを「自分ではない誰か」だと思い込んでいる人の方が、
「彼」よりもよっぽど怖い。
でも、今回の出版は、そういう人の存在さえ覆い隠してしまう。
『絶歌』にこびりついている「演出」のせいで、
そこに書かれているのは、「自分ではない誰か」の話になってしまうから。
自分自身には無関係な、「非日常的な絵空事」になってしまうから。


というわけで、
『絶歌』には、今までにいくらでもあったような犯罪者心理が書き連ねられているだけだから、
買っても、損ですよ?
誰でもいだきそうな感情をたまたま実現しちゃった人間の、誰でも抱きそうな感情が、
誇張され、着色され、活字として延々とダラダラ並んでいる、
そんなものが、誰かの手によって編集されて、
そして、おそらくそこでもまた「演出」されて、
皆さんのお手元に「商品」として、届くだけです。
買っても、損ですよ?
サイコパス的な心理を描写したミステリーはいくらでも出ているから、
そっちをお読みになることを、オススメします。


買われた方、読まれた方、
もし仮に、『絶歌』の中に「高邁な思想」「犯罪者心理の深淵」みたいなものが発見できたのなら、
僕の間違いです。その場合を想定して、お詫びしておきます。

でも、このお詫びは無効だろうなぁ・・・。いや、失礼。何でもないです。



2015/06/22  安達雄大 記





パッション

セント・メプレスのプリティ中野です。

いつもこのブログを応援していただきまして

ありがとうございます。

このすぐ下の大学受験(指導・勉強法)と書いてある

白いボタンにポチっとワン・クリックしていただけると

とても嬉しいです!


にほんブログ村 受験ブログ 大学受験(指導・勉強法)へ
にほんブログ村  





St.メプレスのホームページ

1422580433222.png


プリティ中野の書評 山本兼一著『信長死すべし』

山本兼一は僕の同志社文学研究会時代の仲間である。
今年の2月13日、僕の誕生日に彼は肺がんで他界した。
最後の原稿を中央公論の編集者に送稿した5時間半後に息を引き取ったのだった。
彼は骨太の歴史小説をいくつも遺していった。
まだ生き残っている僕は彼の作品を語り続けたい。
セント・メプレス発足時に推薦文を書いてくれた恩義に応えるためにも。


歴史上の事実を透視して

隠れているその真実を虚構の中に抉り出すという

歴史文学の生命線が骨太に貫かれている力作である。

本能寺の変の要因には諸説あるが、光秀が信長を討ったという事実は動かない。

ならば光秀の心の天秤を主君弑逆に傾けさせたベクトルが

単一であれ、複数ベクトルの合力であれ

普遍の人間性をキャンバスにしつつ山本の雄渾の筆致で本能寺が描かれれば、

読者は自ずと、光秀は言うに及ばず、信長や帝

さらには近衛前久を始めとする公卿と交感するのである。

時間と空間を超越する地下茎で繋がれた端末が個々の人間とするなら

マザーコンピュータが奈辺にあるのか。

その所在を垣間見せる力量こそが作家の力量であり

その意味で山本兼一は最もマザーコンピュータに肉薄した端末なのであろう。

― 光秀の魂は、そのまま深い闇の奈落に落ちていった。

最終章『無明』のエンディングである。

無明のカオスの中で人間は蠢き

その蠢きの一つひとつを糸として

壮大な人間の歴史が紡がれていく。

事件から430年が経過した今

山本兼一が創出する本能寺の変と交感し

描かれる無明の中に自分自身の座標を求めることができるなら

歴史小説読者として、至福の悦びとなるだろう。

その悦びを共有する一人として

まだ手にしておられない全ての方に本作を薦めるものである。


120720_1051~01

山本兼一からいただいた推薦文

中野俊一氏は、わたしの同志社大学時代の先輩である。
わたしと中野氏は大学の文学研究会に所属していた。
わたしが二年になったとき中野氏は、その会の会長になった。
文学研究会は、学術団体でありながら、無頼を気取る輩が多かった。
そんななかにあって、中野氏はめずらしく情熱と責任感にあふれた人材であった。
だからこそ、自尊心の高い会員たちから請われて会長に就任したのである。
そんな中野氏がこのたび新しく塾を開くという。
その名はセント・メプレス。
中野氏が開く塾ならば、さぞや熱気にあふれ、
塾生は激しく切磋琢磨されることであろう。そう信じてやまない。

yamamoto.jpg
在りし日の山本兼一



あなたが生まれたとき、周りの人は笑って、あなたは泣いていたでしょう。

だからあなたが死ぬときは、あなたが笑って、周りの人が泣くような人生をおくりなさい。

                               ~アメリカ・インディアンの言葉



にほんブログ村 受験ブログ 大学受験(指導・勉強法)へ
にほんブログ村  あなたのワン・クリックが私の元気の源です!よろしくお願いします。

医学部受験生に贈る!
未来の医師養成講座
愛知医科大学理事長三宅養三先生からご推薦をいただきました。


講師:吉田統彦(つねひこ)先生




東海高校を経て名古屋大学医学部、同大学院卒業。
米国ジョンズ・ホプキンス大学ウィルマー・アイ・インスティテュートにて勤務。
眼科医。医学博士。愛知医科大学医学部客員教授。昭和大学医学部客員教授。
名古屋大学医学部非常勤講師。名古屋医療センター非常勤医師。前衆議院議員。

講義内容/日米の医療の比較を通じて、現代日本の医療問題を、毎回テーマを変えながら鋭くえぐりだし、医師をめざす受験生の使命感を、インテリジェントにそしてパッショネートに鼓舞します。このコースはまた医学部入試の面接試験での発言能力や小論文の背景知識を涵養することにも力を注ぎます。

2015年全9回コース
(4月~12月につき毎月1回/すべて月曜日20:30~21:50)

クリック⇒吉田統彦先生の未来の医師養成講座
  1. 2015/07/02(木) 00:00:01|
  2. 安達雄大
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
<<キング・オブ・ロマンス加藤祐貴の名医への道1 | ホーム | 平成27年度 愛知医科大学医学部推薦入学試験英語科大問Ⅰ問題文全訳>>

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2015/07/09(木) 12:49:51 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://prettyjonathan.blog.fc2.com/tb.php/478-ec594603
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

PRETTY NAKANO

Author:PRETTY NAKANO
名古屋千種駅前の医学部&名門難関大専門塾セント・メプレス学長。元大学受験ラジオ講座講師。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (154)
僕の受験生時代 (0)
プロフィール (1)
勉強法 (12)
愛しき日々 (24)
檄 (1039)
雑感 (67)
名言シリーズ (12)
メプレス (24)
英語 (27)
愛知医科大 (33)
東京女子医大 (11)
東京工業大学 (1)
ロシナンテス (1)
日本医科大学 (1)
吉田つねひこ先生 (43)
山本兼一 (5)
名古屋大学医学部 (56)
燕燕 (1)
岩手医科大学 (5)
金沢医科大学 (9)
東京大学 (1)
三宅養三先生 (0)
名古屋大学理学部 (28)
青山学院大学 (10)
歯学部 (2)
パイロット (2)
保護者の声 (2)
名大岐阜大共同研究 (1)
立命館大学 (1)
かつての教え子たちへ (1)
五稜郭高田 (25)
安達雄大 (16)
吉野由宏 (15)
石原泉 (0)
安田賢治 (7)
兼瀬あらわの藤保医学部物語1 (0)
藤田保健衛生大学 (12)
プリティ語録 (3)
英語問題集・参考書の間違い (3)
日本史吉川 (4)
泉初実 (3)
国政直記 (7)
東京理科大学 (1)
名古屋市立大学医学部 (1)
川崎医科大学 (1)
帝京大学医学部 (1)
同志社大学 (1)
入試説明会 (8)
医療立国 (14)
合宿 (15)
保護者会 (2)
酒井健ちゃん (1)
メディカルツーリズム (10)
埼玉医科大学 (1)
ドクター花城 (3)
不正入試 (24)
北里大学 (1)
武田塾 (12)
藤田医科大学元准教授 (1)
ヨーロッパの医学部 (1)
前野芳正先生 (4)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR